前回述べたように、iDeCoの主なメリットは以下の3つだと言われます。
①掛金が全額所得控除される
②運用益が非課税で再投資される
③受け取る時に税制優遇措置がある
一見すると確かに節税効果が高いように思われます。
しかし、③に注目してみると、優遇措置があるとはいえ、結局は①、②で課税されなかった分は受け取りの際に課税されることになります。
そこで、「iDeCoは単なる課税の繰り延べではないか?」という疑問が生じます。
課税の繰り延べではないか?
まず、以下の図のように、運用益や手数料等がなく、掛金をそのまま60歳時に受け取る場合に単純化して考えてみます。
図1 |
例えば、課税所得が300万円(A)、年間10万円の掛金を拠出(B)し、所得にかかる税率と受取時にかかる税率がともに20%だとします。
この条件を基に、iDeCoを利用した場合と利用しない場合の税金総額を比較すると、以下のようになります。
○iDeCoを利用した場合
拠出時→300万円(A)-10万円(B)=290万円×20%=58万円
受取時→10万円(B)×20%=2万円
税金総額=58万円+2万円=60万円
○iDeCoを利用しない場合
税金総額=300万円(A)×20%=60万円
以上のように、iDeCoの利用の有無にかかわらず税金総額は変わらないのであって、単なる課税の繰り延べのように思えます。
思ったよりもかなり長くなってしまったので、課税の繰り延べという考え方が正しいかという点について、次回に続きます。