楽天証券で始まる投資信託積立の楽天カード決済は本当にお得なのか?


楽天証券は、2018年10月27日から、投信積立の引き落とし方法として、楽天カード決済が可能になることをプレスリリースしました。

そして、楽天カード決済を行った場合には、決済額の1%の楽天スーパーポイントが付与される(※上限は月額5万円)ことから、投資ブログなどでは、楽天証券に移るという記事も見られます。

楽天証券には、楽天VTIという人気の投資信託があり、楽天証券で投資信託の積み立てを検討している方々は、この積み立てを検討している方が多いと思われます。

そのため、今回は、楽天カード決済の場合の楽天VTIと通常の楽天VTI、そして、本家VTIの3つについて、これらを積み立てていった場合を比較し、どのような差が生じるのか検討してみたいと思います。

結果としては…楽天証券に移って楽天カード決済にする必要まではないのではないかというのが現時点での私の結論です。




楽天VTI(楽天カード決済)、楽天VTI(通常)及び本家VTIの比較



楽天VTI(楽天カード決済)、楽天VTI(通常)及び本家VTIには、主に表のような違いがあることから、これを基に以下の条件で比較を行います。

  • 毎月5万円(ポイント付与の上限額)を積み立てる
  • 本家VTIは、5万円分を購入する際に550円の購入時手数料が掛かるものとする
  • VTIのリターンは年5%とする
  • 積立期間は20年で考える
また、本家VTIについては、NISA口座で購入すると購入手数料が無料になる証券会社(楽天証券、SBI証券など)もあることから、そのパターンも併せた4つのパターンを比較します。


4つのパターンの比較結果


前述の条件で20年間積み立てた場合の結果は、このようになりました。


うーん、パッと見は違いがよく分からない…

細かい額まで比較してみると、意外にも1位は本家VTI(購入時手数料なし)の20,457,033円でした。

2位は楽天VTI(楽天カード決済)の20,355,566円、3位は本家VTIの20,233,479円、4位は楽天VTIの20,154,026円と続きます。


比較結果から分かること


以上の4つのパターンの比較から分かることとしては、①信託報酬がリターンに重要な影響を与えていることと、②楽天ポイント付与の効果が思ったより高くないということです。

特に、②については、1%のポイントが付与されることから、毎年のリターンを1%底上げするような錯覚に陥ります。

しかし、詳しく考えると、それが誤りであることがすぐに分かるかと思います。

例えば、積み立てを開始した最初の年には、60万円(5万円×12か月)に対して6,000ポイントが付与されるので1%のリターンが底上げされることになります。

しかし、2年目は、累積投資額が120万円(5万円×24か月)であるのに対して、付与ポイントはその年に積み立てた60万円分の6,000ポイントしか得られないので、リターンの底上げは0.5%になります。



このように、積み立て開始からX年目のリターンの底上げは1/X%(例えば10年目は1/10%=0.1%)になり、ポイント付与によるリターン底上げの効果は年々減少していきます。

楽天カード決済で付与されるポイントについて、最終的なリターンに与える影響が思ったよりも高くない原因は、この点にあると思います。


どのように対応するべきか


ただ、そうは言っても、ポイントが付与されれば楽天VTIを普通に購入するよりはお得であることに変わりはないので、楽天証券に移って楽天カード決済を始めてもよいように思われます。

しかし、他の証券会社も楽天証券と同じようなポイント制度を作る可能性があることや、楽天証券のポイント付与制度が今後変更される可能性があることを考えると、私は、もう少し状況を見守りたいと思っています。


今日のまとめ

  1. 2018年10月27日から、楽天証券では投信積立を楽天カード決済で行うことが可能になり、決済額の1%の楽天ポイントが付与される(上限は月額5万円)。
  2. ポイント付与の影響について比較した結果、最終的なリターンに与える影響は思ったよりも高くなかった。
  3. 比較した中で一番リターンが高いのは、本家VTIを購入手数料なしで積み立てていくパターンだった。
  4. 今後は、他の証券会社も楽天証券と同じようなポイント制度を作る可能性がある。
  5. 楽天証券のポイント付与制度が今後変更される可能性がある。
  6. 2~5の理由から、もう少し状況を見守ることとする。