NISAとは、株式や投資信託などの金融商品に投資をした場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当が非課税になる制度です。
例えば、100万円の株式に投資して、株価が110万円に上昇したところで売却し、10万円の利益を得たとします。
通常は、その10万円から約20%の所得税などが差し引かれ、約8万円が手元に残ることになります。
しかし、NISA制度を利用すれば、税金が差し引かれることなく、10万円がまるまる手元に残ることになります。
2018年から始まるつみたてNISAは、現行NISAと比較して、特に少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度となっています。
結論としては、どちらでもよいように思いました笑
検討した時間が無駄だったように思えて悲しかったのですが、参考に、検討過程、検討結果を紹介します。
比較のための運用方針の設定
現行NISAは600万円を10年間運用することになり、つみたてNISAは800万円を20年運用することになります。
両者の比較を行っている雑誌などでは、両者を同じ年利で運用した場合は、800万円を長期間にわたり運用できるつみたてNISAの方が有利だとするものもありました。
しかし、この試算方法には違和感があります。
なぜ、現行NISAを利用する場合の投資金額を、現行NISA枠の600万円に限定するのでしょうか。
20年間で800万円を投資に回せる人であれば、現行NISA枠の600万円を使い切った後、余剰資金の200万円については、現行NISA枠の外の課税口座での運用を続けるのではないでしょうか。
このような疑問があったので、以下の運用方針で現行NISAとつみたてNISAそれぞれを利用した場合に、どのような結果になるのかを検討することにしました。
- 毎年120万円を投資する。
- 投資金額のうち、非課税枠を超える分は課税枠で運用する。
- 運用リターンは年4%とする。
- 投資開始年は2019年とする。(2018年からとすると、現行NISAのロールオーバー等の検討が複雑になるため)
このような運用方針を設定した上で、以下の4つのパターンを検討してみました。
- 2019年からつみたてNISAを利用した場合
- 2023年まで現行NISAを利用し、2024年からつみたてNISAを利用した場合
- 1の条件で、つみたてNISAの期間が20年以上に延長されたとき
- 2の条件で、つみたてNISAの期間が20年以上に延長されたとき
なお、全てのパターンにおいて、20年後、30年後、…X年後の資産額は同額になります。全て、同じ年間120万円を年4%のリターンで運用しているためです。
そのため、どのパターンが有利かを判断するには、それぞれの税金額を計算し、どのパターンが最も税金額を抑えられるか、という比較を行うことになります。
そのため、どのパターンが有利かを判断するには、それぞれの税金額を計算し、どのパターンが最も税金額を抑えられるか、という比較を行うことになります。
1.2019年からつみたてNISAを利用した場合
2019年からつみたてNISAを利用した場合は、毎月の投資金額120万円のうち、40万円を非課税のつみたてNISA枠で運用し、80万円を課税口座で運用することになります。
それでは、このパターンで運用した結果について見てみます。表については、興味のある方だけ拡大してご覧ください笑
下のグラフの赤い部分から青い部分を除いた部分に、約20%の税金が掛かってきます。
グラフで見ると、2039年から急に青い部分がなくなり、赤い部分の範囲が増えて、税金が増えることが分かります。
これは、つみたてNISAは運用期間が20年なので、21年目(2039年)に、つみたてNISA枠で20年間運用した資金を、全て課税口座に移していることが主な原因です。
また、21年目からは、つみたてNISA枠を使うことはできないため、毎年の投資金額120万円は全て課税口座での運用になります。
このパターンで運用した場合は、20年後の2028年には資産は3,717万円となり、うち、税金額は176万円になります。
また、30年後の2038年には、資産は6,999万円にまで膨れ上がり、税金額は592万円になります。
このパターンで運用した場合は、20年後の2028年には資産は3,717万円となり、うち、税金額は176万円になります。
また、30年後の2038年には、資産は6,999万円にまで膨れ上がり、税金額は592万円になります。
2.2023年までは現行NISAを利用し、2024年からつみたてNISAを利用した場合
次に、現行NISAが終了する2023年までは現行NISAで運用し、その後につみたてNISAで運用する場合です。
2023年に現行NISAが終了し、2024年からは、現行NISAで5年間運用していた146万円(120万円の現行NISA枠+年利4%での運用益26万円)は課税口座に移ることになります。
そのため、現行NISAから課税口座への移行が終わるまで(2024年から2028年まで)は、いったん青い部分(非課税分)が減少していきます。
これと並行して、2024年からつみたてNISAに移行して、年40万円のつみたてNISA枠で20年間運用することになります。
そして、つみたてNISAでの運用が2043年に終了し、2044年からは運用資産が全て課税口座に写ることになります。
このパターンで運用した場合は、20年後の2028年には資産は3,717万円となり、うち、税金額は191万円になります。
また、30年後の2038年には、資産は6,999万円、税金額は566万円になります。
3.2019年からつみたてNISAを利用した場合(つみたてNISAの期間が20年以上に延長されたとき)
続いて、2019年からつみたてNISAを利用した場合で、つみたてNISAの期間が20年以上に延長されたときを見てみます。
つみたてNISAの期間が20年以上に延長されることを仮定したものですので、1番目と異なり、2039年以降も非課税分がなくなることはありません。
このパターンで運用した場合は、20年後の2028年には資産は3,717万円となり、うち、税金額は176万円になります。
また、30年後の2038年には、資産は6,999万円、税金額は453万円になります。
4.2023年までは現行NISAを利用し、2024年からつみたてNISAを利用した場合(つみたてNISAの期間が20年以上に延長されたとき)
最後に、2023年までは現行NISAを利用し、2024年からつみたてNISAを利用した場合で、つみたてNISAの期間が20年以上に延長されたときを見てみます。
このパターンで運用した場合は、20年後の2028年には資産は3,717万円となり、うち、税金額は191万円になります。
また、30年後の2038年には、資産は6,999万円、税金額は507万円になります。
また、30年後の2038年には、資産は6,999万円、税金額は507万円になります。
4つのパターンの税金額の比較
これら4つのパターンの税金額を比較してみます。
比較する意味はあったのか…?笑
以下のどのパターンが最も税金額が抑えられるかは、期間によって異なります。
- 2019年からつみたてNISAを利用した場合
- 2023年まで現行NISAを利用し、2024年からつみたてNISAを利用した場合
- 1の条件で、つみたてNISAの期間が20年以上に延長されたとき
- 2の条件で、つみたてNISAの期間が20年以上に延長されたとき
25年間運用する場合は、パターン3(293万円)<パターン2、4(326万円)<パターン1(352万円)となっています。
30年間運用する場合は、パターン3(453万円)<パターン4(507万円)<パターン2(566万円)<パターン1(592万円)となっています。
このように、どのパターンが絶対的に有利ということはありませんので、今後の自分の運用期間に合わせたものを利用してみてはどうでしょうか。
私の場合は、パターン2(2023年まで現行NISAを利用し、2024年からつみたてNISAを利用)でいきたいと思います。
主な理由としては、私の運用期間は25年程度になること、つみたてNISAの期間が20年以上に延長されるかは現時点では未定ということです。
今日のまとめ
- 2018年1月から、現行NISAと並行してつみたてNISAが始まる。
- 現行NISAとつみたてNISAのどちらが有利かは、運用期間によって異なる。
- 私の場合は、2023年まで現行NISA→2024年からつみたてNISAで運用する。