それでは、証券会社が倒産した場合、投資家の保有する株式等(外国株式やETF、投資信託などを含む)はどのように保護されるのでしょうか。
調べてみたところ、保護制度としては次の2つがあることが分かりましたので、今回はこれらの制度とその活用方法を紹介します。
- 分別管理制度
- 投資者保護基金
分別管理制度について
投資家の保有する株式等は、法律により、証券会社が保有する株式とは分けて管理しなければならないことになっています(金融証券取引法43条の2)。
このように分別して管理されているので、投資家の保有する株式等が証券会社の借金返済のために使われることはなく、投資家は保護されることになります。
マネックス証券HPより |
ちなみに、外国株式については、海外の保管機関で分別管理している証券会社が多いようです。
投資者保護基金について
ただ、法律に違反して分別管理が適切に行われてない可能性もあります。
実際に、南証券や丸大証券が倒産したときは、分別管理が行われていなかったようです。
このように、分別管理が適切に行われていない状況で証券会社が倒産した場合には、投資家は「投資者保護基金」により保護されます。
実際に、南証券や丸大証券が倒産したときは、分別管理が行われていなかったようです。
このように、分別管理が適切に行われていない状況で証券会社が倒産した場合には、投資家は「投資者保護基金」により保護されます。
投資者保護基金は、証券会社の会費や負担金で運営されており、分別管理違反等により投資家が被った損害に対して、1,000万円を上限として補償を行います。
ちなみに、外国株式についても補償の対象となることが投資者保護基金のHP(最下部の表を参照)に記載されています。
なお、補償額の基準となる株価は、補償を行うことを広告した日の最終価格となるようです。
返還を受けられなかったお客さまの資産が有価証券である場合であっても、有価証券ではなく金銭で補償します。この時の有価証券の補償額は、当該有価証券が取引所上場銘柄である場合には、日本投資者保護基金が補償を行うことを新聞紙上などで公告を行った日の最終価格で計算します。(投資者保護基金HPより)
これらの保護制度を踏まえた防衛策について
これらの保護制度を踏まえてどのような防衛策を行えばよいのでしょうか。具体例で考えてみます。
例えば、3,000万円分の株式等を保有している投資家が、次のように株式を保有していたとします。
・パターン1
A証券会社:1,000万円分
B証券会社:1,000万円分
C証券会社:1,000万円分
・パターン2
A証券会社:3,000万円分
パターン1では、A証券会社が分別管理をしていない状況で倒産した場合、投資者保護基金により1,000万円分の補償が行われるので、損失はありません。
一方、パターン2では、A証券会社が分別管理をしていない状況で倒産した場合、補償の上限は1,000万円なので、補償されない2,000万円分の損失が出てしまいます。
これらを踏まえると、保有する株式等の価額が1,000万円を超える場合には、1,000万円を上限としていくつかの証券会社に分けて株式等を保有すれば、保護制度を最大限に活用できるのではないかと考えます。
今日のまとめ
- 証券会社が倒産した場合の投資家保護制度は、①分別管理制度と②投資者保護基金の2つがある。
- 保有する株式等の価額が1,000万円を超える場合には、1,000万円を上限としていくつかの証券会社に分けて株式等を保有すれば、保護制度を最大限に活用できる。