今回は、これらの投資方法を実践していた場合の、2017年上半期におけるリターンを紹介したいと思います。
まずは簡単に、ダウの犬などの投資方法について、改めて紹介します。
「ダウの犬」
毎年年末、ダウ・ジョーンズ工業株平均(ダウ30種)から配当利回りが特に高い10銘柄を選んで同じ金額だけ購入して1年保有し、翌年末にはまた10銘柄をリストアップし、新たに加わった銘柄を購入して外れた銘柄は売却する、ということを繰り返していく投資方法「S&P10種」
ダウではなくS&P500の時価総額上位100銘柄から、配当利回りが特に高い10銘柄を選択する投資方法「ダウ・コア10種」
「S&Pコア10種」
過去15年間に一度も配当を減らしたことのないそれぞれの構成銘柄から、配当利回りが特に高い10銘柄を選択する投資方法
ダウの犬などの構成銘柄ごとのリターン
Googlefinanceを活用して、構成銘柄ごとの2017年上半期のリターンを調べた結果は、以下のとおりになりました。
S&P 10種 | S&P コア 10種 | ダウ の犬 | ダウ コア 10種 | ティッカー | 名称 | 上半期 リターン | 配当込み リターン |
- | S&P500 | 8.24 | - | ||||
- | VTI | 7.92 | - | ||||
1 | F | Ford Motor | -7.58 | -5.13 | |||
2 | 1 | T | AT&T Inc | -11.25 | -8.96 | ||
3 | PM | Philip Morris International | 28.37 | 30.64 | |||
4 | 2 | SO | Southern Co. | -2.68 | -0.41 | ||
5 | GM | General Motors | 0.26 | 2.43 | |||
6 | 1 | VZ | Verizon Communications | -16.33 | -14.18 | ||
7 | OXY | Occidental Petroleum | -15.91 | -13.79 | |||
8 | ABBV | AbbVie | 15.69 | 17.73 | |||
9 | 2 | PFE | Pfizer Inc. | 3.41 | 5.38 | ||
10 | SPG | Simon Property Group Inc | -8.99 | -7.12 | |||
3 | 3 | 1 | CVX | Chevron Corp. | -11.35 | -9.52 | |
4 | BA | Boeing Company | 27.03 | 28.86 | |||
4 | MO | Altria Group Inc | 10.14 | 11.94 | |||
5 | EMR | Emerson Electric Company | 6.94 | 8.65 | |||
5 | CSCO | Cisco Systems | 3.56 | 5.27 | |||
6 | 6 | 2 | KO | The Coca Cola Company | 8.17 | 9.86 | |
7 | 7 | 3 | IBM | International Bus. Machines | -7.33 | -5.65 | |
8 | 8 | 4 | XOM | Exxon Mobil Corp. | -10.56 | -8.90 | |
9 | TGT | Target Corp. | -27.6 | -25.95 | |||
10 | 9 | 5 | CAT | Caterpillar Inc. | 15.86 | 17.51 | |
10 | MRK | Merck & Co. | 8.86 | 10.45 | |||
6 | PG | Procter & Gamble | 3.64 | 5.23 | |||
7 | MCD | McDonald's Corp. | 25.83 | 27.36 | |||
8 | WMT | Wal-Mart Stores | 9.49 | 10.94 | |||
9 | JNJ | Johnson & Johnson | 14.83 | 16.22 | |||
10 | MMM | 3M Company | 16.58 | 17.83 |
基準としたS&P500については、2017年の上半期で+8.24%のリターンとなっています。
これに対して、S&P500を上回るリターンとなった銘柄は、S&P10種は2銘柄、S&Pコア10種は2銘柄、ダウの犬では3銘柄、ダウコア10種は5銘柄となりました。
配当込みのリターンを考えても、S&P500を上回ったリターンとなった銘柄は、S&P10種は2銘柄、S&Pコア10種は3銘柄、ダウの犬では4銘柄、ダウコア10種は6銘柄となっています。
ちなみに、配当込みのリターンが高かった上位5銘柄は、以下のようになっています。
配当込みのリターンを考えても、S&P500を上回ったリターンとなった銘柄は、S&P10種は2銘柄、S&Pコア10種は3銘柄、ダウの犬では4銘柄、ダウコア10種は6銘柄となっています。
ちなみに、配当込みのリターンが高かった上位5銘柄は、以下のようになっています。
- PM(フィリップモリス)+30.64%
- BA(ボーイング) +28.86%
- MCD(マクドナルド) +27.36%
- MMM(スリーエム) +17.83%
- ABBV(アッヴィ) +17.73%
ダウの犬などの投資方法ごとのリターン
続いて、2017年上半期におけるダウの犬などのリターンについて、それぞれの構成銘柄のリターンを平均して算出した結果が、以下のとおりです。
2017 上半期 | 2017 上半期 (配当込) | (参考) 1957 ~2003 | |
S&P500 | 8.24 | 8.24 | 11.18 |
VTI | 7.92 | 7.92 | - |
ダウの犬 | 2.13 | 3.91 | 14.43 |
S&P10種 | -1.50 | 0.66 | 15.68 |
ダウコア10種 | 6.52 | 8.09 | 14.49 |
S&Pコア10種 | -2.97 | -1.14 | 15.68 |
この表をみると、2017年上半期においては、基準となっているS&P500のリターンを全て下回っていることが分かります。
配当込みのリターンを考えても、全ての投資方法がS&P500を下回っており、S&Pコア10種に至っては、配当込みでもリターンがマイナスになっています。
2017年上半期におけるダウの犬などのリターンを調べてみた雑感
以前の記事では、ダウの犬などの投資方法を行った場合の1957年から2003年までのリターンが、S&P500のリターンを上回っていたことを紹介しました。
また、以下のグラフを示して、ダウの犬は、2003年から2017年までの15年間で4度しかダウ平均に負けていないということを紹介しました。
しかし、実際に調べてみると、意外にもダウの犬などのリターンは全てS&P500のリターンを下回っています。
改めて、印象で物事を判断することの危険性や、客観的なデータの重要性に気付かせてくれました。
ただ、2017年はあと半年あるので、下半期まで終わった後に、改めてS&P500との比較を行いたいと考えています。
下半期まで終わった後に、ダウの犬などのリターンがS&P500を上回ることができるのか、今回のように下回ったままなのか、結果を楽しみに待ちたいと思います。
今日のまとめ
- 2017年上半期のダウの犬などのリターンは、意外にも全てS&P500のリターンを下回っていた。
- 2017年下半期まで終わった後に、改めてS&P500との比較を行う。